団塊の世代の大量退職-雇用と退職金の行方-

リタイア後の消費活動と退職金の資産運用に熱い視線が

2007年春から、いわゆる団塊の世代が多くの企業で定年とされる60歳に達し、大量に退職し始めます。長引く不況で採用を控えてきた企業にとっては人材の確保や技術の継承が問題になったり、一度に大量の退職者が出ることで退職金の支払いがかさむなど企業にとっても頭の痛い問題のようです。特に情報通信産業の基幹システム開発部門では、代わりとなる人材の確保が難しく、2000年問題ならぬ2007年問題などという言葉もあります。

このような様々な問題の発生が懸念される一方、団塊の世代の一斉リタイアというのは、「多額の退職金と自由な時間を手にした消費者」が大量に出現することを意味します。ちょうどここ数年は株式や投資信託が好調な市況に支えられて好調な伸びを示していることから、退職金のかなりの部分が「投資」にまわされることにもなるでしょう。株式や外貨あるいは投資信託などの運用商品の市場に流れ込んでくる(かもしれない)膨大な退職金、そしてもともと戦後第一世代として活発な消費活動を繰り広げてきた団塊の世代が手にする自由とお金……不況に少子化と暗い話題が続いた日本経済にとって、久々の好材料ですね。
もちろん、長期的には高齢化による社会保障の問題が出てくるわけですが……。

団塊の世代の大量退職を投資のテーマとして見れば、最大の焦点は「退職金の行方」でしょう。投資信託や株式、投資情報、証券会社など資産運用に関連する市場へのインパクトはもちろん、趣味に生きてきた人も多い世代ですから多様な産業への経済効果が期待されています。すでに旅行会社やフィットネス関連会社などが注目されているようです。また、企業にとっても比較的高コストだった中高年層の一斉退職で長期的には人件費やオフィスなど固定費の削減につながる可能性もあり、世代間のバトンタッチとそれに伴う効率化をうまく行えそうな企業に注目するのも面白そうですね。

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