郊外の地価と住宅価格の今

不動産情報サイトで、埼玉や茨城、千葉などの不動産価格を検索してみると、500-1000万円で100-200平米程度の敷地を持つ中古住宅が売りに出されているようです。詳細を見てみても、そのまま住めそうな状態の家で、駅まで20-30分以下といったものも多く、実際に購入して住む家として十分現実的。実際、私もこの価格帯の中古住宅を不動産業者にいくつか見せてもらいましたが、いずれも意外に広くきれいでした。

ただ、物件の中には上下水道がなかったり、近くに店がほとんどないなど不便なものもあります。なぜ「安い」のか、十分に検討する必要があるわけです。フリーランサーであれば「毎日の通勤に不便」なのはそれほど問題になりませんが、新規の仕事や打ち合わせなどで都心に出るコストと時間は意外に重要。目安としては、1時間から1時間半程度で山手線に出られる位が現実的でしょうか。

低価格で比較的住みやすい格安物件には、以下のような傾向があるようです。

70-80年代の新興住宅地

70-80年代、関東のあちこちで大手不動産業者による大規模な新興住宅地の開発が行われました。この種の新興住宅地は、ある程度の計画性を持って開発されているため、周囲が田畑ばかりといった場所でも上下水道やガス、公共施設などの生活基盤が充実している場合が多いようです。道路や公園も整備され、整然とした町並みが特長。恵まれた環境と広めの敷地が魅力でしょうか。
一方、長引く不景気や高齢化を背景に商店が撤退して全体に活気が失われているような場合もあるかもしれません。また、造成時に湿地を埋め立てたり山を崩している住宅地もあり、地盤にも注意が必要です。

これらの新興住宅地は、戦後のベビーブーム世代の需要を見込んで郊外型新興住宅地として都心部への通勤を前提に開発された住宅団地が中心で、たいてい最寄駅から都心部まで1時間程度の場所にあります。ただ。、駅までの交通手段には注意が必要でしょう。バスがあっても本数が少なかったり運賃が高額だったりするかもしれません。

最近、いわゆる団塊の世代を中心とする新興住宅地の購入者が高齢化し、売りに出される物件が増えています。こうした割安物件を狙うのも手ですが、高齢化が進んであまりに売り物件が多いようだとその地域の「将来」が少し気になりますね。また、市街化調整区域にある物件だと、住宅ローンで苦労するかもしれません。

古めの住宅地のミニ戸建て

比較的古くからある住宅地、その路地裏にこじんまりと建っている中古住宅です。商店や交通の便には比較的恵まれていて、「まちなか」の利便性の高さが魅力ですが、その一方狭い敷地や密集した住宅など環境面ではやや不利かもしれません。

なお、この種の物件には建築基準法などによって再建築に制限がかかる場合もあるので、十分に確認しましょう。

田園地帯の一戸建て

緑豊かな田園地帯に「点々」と建つ戸建て住宅。見た目には美しい光景ですが、実際に住むとなるとそれなりの「不便」も覚悟せざるを得ないでしょう。「車がないと生活できない」土地です。上下水道もない場合があり、その場合は井戸水や浄化槽を利用する生活になるでしょう。
ただ、逆に車があれば広い敷地に良好な環境を存分に味わえるかもしれません。通勤には不向きなので、独立色の強いフリーランサー向きですね。周囲に店がない分、浪費が減って生活コストも下がるかも?