サブプライムローン問題と低所得者向け住宅ローンの今後

今年(2007年)、世界の株式や為替市場を度々混乱させているアメリカのサブプライムローン問題。これは、まさに「低所得者向け住宅ローン」の問題で、私のような人間にとっては非常に身近というか、他人事ではないのですよね。
もっとも、金融市場の混乱は高金利の住宅ローンの返済に行き詰った人が出てきたから、というよりも、証券化された「不良債権」が誰の手に渡っているのか良くわからないことから来る信用不安が大きいわけですが。

低所得者(というか、金融機関の信用を得にくい人たち)に対して高金利で住宅ローンを高金利で貸し付けるサブプライムローンは、ハイリスクハイリターン志向のビジネスです。不動産を担保に取っているとはいえ、不動産自体が値動きのあるリスク資産であり、返済の原資となる個人所得にいたっては(特に低所得者層にとっては)明日をも知れぬハイリスク要因です。
ですから、高めの金利で補うわけですが、不動産価格が下落して担保割れしてくると一気に貸し倒れリスクが増し、それが信用不安となって金融市場や不動産市場に波及しさらに状況が悪化していく……というスパイラルに陥り、アメリカのサブプライムローン企業の破綻も相次ぎました。

不安なのは、日本の住宅ローンへの影響ですね。日本でも最近、割と「まとも」なサブプライム住宅ローンが出てきた(以前は住宅ローンというより不動産ローン系の高金利ローンを利用するしか手がなかった)のですが、この問題でどうなるか。消費者金融の高金利が問題になった直後だけ出に、今度のサブプライムでやはり信用の低い個人には貸すべきではない、という「流れ」が一層強まらないか、ちょっと心配です。
低所得者や自営業者が「それなりの住宅ローンを組んで家を買う」という「選択肢」までも奪われることがないように願いたいものです。低所得者や自営業者の中にだって、「それなり」の返済なら可能な状況にある人はたくさんいるのですから。そして、そうした人たちの返済能力を「実態に即して」見極め、必要な資金を提供することが「金融のプロ」の仕事ではないでしょうか。