仕組み預金

デリバティブに仕組まれないようご用心

仕組み預金とは、外貨取引や金融デリバティブ(派生商品)と組み合わせることで通常の預金よりも高い利息を受け取れる「可能性」と「元本割れリスク」を持つ特殊な預金商品です。

たとえば、某銀行の「仕組預金」では、外貨取引と組み合わせて基準レートを設定し、満期時にこの基準レートよりも円高だと預けた預金が基準レートでドルに変えられ償還されます。つまり、満期時に基準レートよりも円高になっていた場合は、為替差損によって元本割れになる可能性があるわけです。一方、基準レートよりも円安になっていてもドルに変えて受け取ることはできず、為替差益は手に入りません(仕組預金で預けた元金を円とドルどちらで償還するかは、銀行側の一方的な判断によります)。
そして、預金者の側は通常の預金よりも高い利息(1-3%程度)を毎年受け取れる、という金融商品です。

この仕組預金を一言でいうと、「リスクはすべて預金者がリターンはすべて銀行が取る為替先物取引」といった感じでしょうか。ただ、満期時に基準レートよりも円高になってドルとして受け取る場合は「ドルの外貨預金」となる点も要注意ですね。ドル預金で帰ってくると、円に換える時には為替差損を蒙った上にさらに外貨預金の為替手数料(一ドル1円)まで取られます。
そして、これだけのリスクを負って得られるものは「普通の定期預金よりは多少」良い利子くらい。

まぁ、この種のリスクを理解できれば普通は為替差益とより高い利息を享受できる外貨預金や外貨FXを使うような気がしますが、中にはそれで良い、と預ける人もいるかもしれませんし、それはそれで預金者が選べばよいことでしょう。仕組預金にも、基準為替レートを実勢為替レートではなく選択肢として示された中から選べる、といった利点はありますから、示された基準為替レートの中にさすがにこれ以上は円高にならないだろう、というものがあればその判断にかけて通常よりも高い利回りに期待して預ける、という選択肢もありそうです。

ただ、この種の仕組み預金では、リスクの説明を十分にしていなかったとして問題になることがあります。特に、中途解約で元本割れしてトラブルになる例が多いようです。仕組み預金の利用を検討する場合は、まずその仕組み預金が何(為替、株価などデリバティブの「原資産」とも言うべきものがある仕組み預金が多い)と組み合わされているのか、そしてその組み合わされたレートの値動きによってどういったリスクがあるのか、十分に検討する必要があるでしょう。
特に為替や株価指数を基準に、利益が出た場合はそれをすべて銀行側が受け取る(そして損失はすべて預金者が蒙る)事実上の「特約レートでの先物取引」になっているような仕組み預金では、直接外貨や株式で取引した場合よりも有利と言えるのか、よく考えてみてください。また、中途解約は原則としてできず、特例で認められた場合も大きく元本割れしかねない商品もあるので、その点も注意が必要です。

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